| 問題Ⅱ 次の(1)から(3)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。 |
(1)①手紙というのが、どうも苦手である。手紙を書く必要に迫られたりすると、とつぜんクシャミがとまらなくなったり、おなかをこわしたりする。
もともと、文章を書くのがいやだ、ということもある。が、それ以上に手紙を書くの がいやなのは、あの形式のせいである。
まず、「拝啓」というのが気に入らない。拝啓というのは「つつしんで申し上げる」というイミらしいが、いまどきそんなことを知っている人は、あまりいない。イミもわ
からずに、なぜ「拝啓」なんて書かなければいけないのか、ぼくにはまったく理解でき ないのだ。 (中略)
ま、いちがいに「形式」がいけないとは言わない。もともと形式というのは、みんなの便利さのためにあるものだ。形式があるからこそ、ぼくたちは②余分なことに余計に神経を使わずにすむ。もし、手紙の形式というものがなかったら、ぼくたちは手紙を書くたびに、「どう書き出せばいいだろうか」とか、「こう書いたら失礼にならいだろうか」とか、あれこれこまかいことに気をつかって、書かないうちからクタクタ(注1)になってしまうかも知れない。
が、そういう形式の効用(注2)は十分認めたうえで、なおいまの手紙の形式は死んでいる、
とぼくは思う。で、それがぼくたちの首やからだに巻きつき、ぼくたちの手紙を窒息状態に追いこんでいると思う。形式をちゃんと<こなせばSUB>(注3)こなすほど、手紙からどんどん生気
(注4)が失われていくのだ。 (天野祐吉「バカだなア」筑摩書房による) (注1)クタクタになる:とても疲れる (注2)効用:役に立つこと
(注3)ちゃんとこなす:うまく使う (注4)生気:生き生きしたカ
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(2)人間と動物、動物と機械は、それぞれ決定的に異なる何かがあるのだろうか。それとも、その違いは、距離の差にすぎないのだろうか。
ここでは、たとえばそのなかの二つ、動物と機械の差を考えてみよう。たしかに機械は無生物であり、動物は生物の一部にほかならない。( ① )は対立する概念なので、
機械と生物はまったく異なるものということになる。 だが、たとえば現代の自動車工場では、日々、ロボットを使って自動車が製造されている。この様子は、極端に言えば、まるでロボットが自動車をつくり続け、人間の労働
者は、あたかも(注1)そのロボットの補佐役(注2)のようであるとも言える。そして、この工場のシステム全体を見ると、それがひとつの生き物のようである。これは、機械が機械を生
んでいる、動物で言えば「世代交代」をしているかのように思える光景だ。 「世代交代」は、「自己増殖(注3)
」と並んで、生物と無生物を分ける、生物の決定的な特徴とされている。だが、上記のように、今日のロボットや自動車は機械であっても、ま
たその巨大な集積であるFA工場は機械システムであっても、②「世代交代」という機能 (注4)
をもっており、少なくともその面では、動物もしくは、動物の種の姿に近いと考えることができる。そう考えると、生物とは対立するはずの機械も、③その違いは単に距離の差
に過ぎないと言える。 (奥野卓司「人間・動物・機械一テクノ・アニミズム』角川書店による) (注1)あたかも:まるで (注2)補佐役:仕事を助け、補う人 (注3)増殖:増えて多くなること
(注4)FA工場:生産システムが自動化されている工場
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問(4) ③「その違い」とは何と何の違いか。
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1.ロボットと自動車 2.動物と動物の 3. 動物と機械 4.動物と生物 |
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(3)大人のことばと子どものことばの場合も、大人のことばが「中心」で、子どものこと
ばは「中心」ではありません。だから、普通は、私たちは、「中心」であるところの大人のことばを維持しなければならないと思っており、子どもが何か変わった言い方をし ますと、( ① )。
しかし、その反面(注)、子どものことばというのは、必ずしも全部大人のことばに合わせ
て直されてしまうわけではありません。それは、ことばというのが、時代とともに変わるということをみればすぐわかることです。「ことばが変わる」という場合、それは世
代から世代への移り変わりで、②ずれが起こっているということですし、そのずれというのは、子どものことばに始まったものが、それを直そうとする試みにも関わらず、しきれなくて、それが大人のことばの中に入り込み、言語を変えるのだと考えることができます。こんなふうに考えてきますと、③「中心」でないものも、最近のことばを使いますと、文化というものを「活性化」する、つまり、それに活力を与える-------そういう意味を持っているものとしてとらえなおすことができるわけです。
(池上嘉彦「ふしぎなことばことばのふしぎ』筑摩書房による)
(注)反面:ほかの面から見ると
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