ÈÇÓ×ÅÍÈÅ ßÇÛÊΠ- ßÏÎÍÑÊÈÉ
STUDY LANGUAGES - JAPANESE

8. JLPT


Menu JLPT / 1998: JLPT-1 (N2-N1)
Japanese language proficiency test
009 - Task 1
Grammar and Reading

 
問題Ⅰ 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一っ選びなさい。
川に上流と下流があるように 、われわれのくらしにも上流 ( アップストり一ム ) と下流 ( ダウンストリーム ) がある 。 栓をひねると出てくる水の来るところは上流であり 、 流しに捨てた水の行く先は下流である 。 米 、 肉 、 魚 、 野菜 、 電気 、 ガス 、 石油 、 こういったく らしに必要なものを供給するところが上流であり 、台所で出る野菜くず 、 便所の屎尿 、 こういった邪魔物をほうり出すところが下流である 。
  われわれは 、 例外なく 、 下流より上流の方を気にする 。 上流が汚れ 、 乱れると 、 水や食べ物がまずくなり 、 危なくなり 、くらしの楽しみが減り 、 からだが傷つけられやすくなる からである 。 上流にくらべて 、 下流に対する関心はゼロといってよいくらいうすい 。 目の前においておくと嫌なものを 、 見えないところ 、 遠いところに持っていくだけで 、 もう 、すっかりその存在さえ忘れてしまう 。( ② )自家用車を運転している入は 、 気楽な気 分で歩行者や自転車族に排気ガスを吹きつけているのだが 、そのことを意識している人は ほとんどいない 。 これなど下流に対する無関心の典型である 。
それでも 、 昔 、ずっと昔だと 、 上流と下流は 、 両方ともくらしのすぐそばに一緒にあっ て 、誰の目にもその様子がよく見えていた 。 食べる肉がつい一刻前( 注1 )までは庭を走りまわっていた鶏であったり 、 野菜くずが庭のすみの穴に埋められ 、 しばらく後で堆肥( 注2 )になり畑に使われるといったことが 、ありふれた風景であった 。 この当時だと 、 上流は自然と自分で 監視していることになったし 、 自分は下流に関心がないといっても 、 少なくとも家族の中の一人がそれを始末していることは目にしていた 。 だから 、直接手をつけなかった として も 、 下流の状態は 、 まちがいなくみんなが知っていた 。
 上流と下流 が両方ともそばにあるということは 、 自分の生活の上流が他人の生活の下流 であるということである 。 それはまた 、 自分の下流が他入の上流であることでもあった 。 だから 、 そういう時代 、 人は ( ⑤ ) 生活をしていた 。飲み水を汲む流れのすぐ上でおしめ( 注3 )を洗うことは 、 いくら田舎でもつつしまれていたし 、 食べ頃の野菜に下肥( 注4 )をまくことは 、 絶対にしなかった。 お互いにそのような知恵を働かしあって 、 人は生活を作ってい た 。
ところがやがて 、 都市と農村がわかれてきた 。 そして都市では 、 上流と下流が見えにく くなってきた 。それは都市生活の一つの大きな特徴だった 。
都市が大きくなるにつれ 、 都市のこの特徴は度が進んでいった 。 実際今では 、 自分の家 の水道から出る水が 、○○ 川の △△ 取水口から入る 、あの濁りのある水だという実感を持っ て水を使っている人はいないだろう 。 関心の大きいはずの上流のことさえ 、 都市では 、 小学校の教科書と社会見学で見るだけになっている 。まして下流に属するごみや下水のこと となると 、それは観念の世界のことでしかない と言って過言でないだろう 。 それが現代の都市生活における " 下流 " の位置である 。上流も見えないが 、 下流はそれ以上に見えない というのが 、 現代の都市生活の特徴なのである 。
 ( 吉村功 『 ごみと都市生活 』 による )
( 注1 ) 一刻前:時間的に少し前 、 先ほど
( 注2 )堆肥:肥料
( 注3 ) おしめ:おむつ 、 赤ん坊の大便や小便を受けるために体に当てる布
( 注4 ) 下肥:人間の大便や小便を用いた肥料
問(1)  ①「われわれは、例外なく、下流より上流の方を気にする」とあるが、その理由として正しいものはどれか。
     1.上流の存在を忘れてしまっているから。
     2.下流は見えないところが多いから。
     3.上流が汚れると被害を受けるから。
     4.下流はありふれた風景だから。
  
問(2)  ( ② )に入れることばとして適当なものはどれか。
     1. たとえば      2.そのうえ     3.それから     4.ところが  
問(3)  ③「直接手をつけなかった」とあるが、例えばどのようなことか。
     1.鶏の肉を自分で料理しないこと
     2.野菜くずを自分で埋めないこと
     3.上流を自分で監視しないこと
     4.下流を自分で見に行かないこと
  
問(4)  ④「上流と下流」の例として適当な組み合わせはどれか。
     1.上流:水道の栓  下流:台所
     2.上流:排気ガス  下流:自家用車
     3.上流:鶏  下流:野菜くず
      4.上流:堆肥  下流:畑
  
問(5)  ( ⑤ )に入る適当なものを選びなさい。
     1.上流を気にしないで
     2.下流を気にしないで
     3.上流を気にしながら
     4.下流を気にしながら
  
問(6)  ⑥「実際今では、自分の家の水道から出る水が、○○川の△△取水口から入る、あの濁りのある水だという実感を持って水を使っている人はいないだろう。」とあるが、この文で筆者が言いたいことは何か。
     1.都市と農村とで生活が異なってきたこと
     2.上流のことがわからなくなっていること
     3.水を使っている実感がなくなってきたこと
     4.自分の使った水がどこへ行くかわからないこと
  
問(7)  ⑦「それは観念O世界のことでしかない」とあるが、それはなぜか。
     1.生活の中では、下流のことがほとんど見えないから。
     2.都市化によって、川の水がだんだん汚れてきたから。
     3.現代の都市では、上流より下流の方に関心が高いから。
     4.学校で子供たちに上流のことをあまり教えていないから。
  
問(8)  この文章によると、現代の都市の人々の上流と下流に対する理解はどのようなものか。
     1.上流についても下流についても同様によくわかっている。
     2.上流についても下流についてもまったくよくわからない。
     3.上流のこともわかるが、下流のことはもっとわかっている。
     4.上流のことはよくわからないし、下流はもっとわからない。