| 問題Ⅲ次の(1)~(6)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。 |
(1)今日ほど「労働」が見失われている時代はあるまい。働くなかで仕事や人に教えられ、ある いは人と力を合わせて働くこと、また働いた成果で社会と結ばれていることを実感し、それら
によって自分の働きの意味と生きていることの意義を確かめられる、そういったことから私たちはしばらく無縁(注)でいる。「労働の喜び」といった表現がひどく古めかしく感じられるほど、「労働」は
私たちの生活から遠ざかっている。 (森清『ハイテク社会と労働』岩波新浮による) (注)無縁:関係がないこと
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② コンピュータは他の機械とは本質的にちがっている。普通の機械はそれぞれ固有の目的のために作られていて、その他の目的のためには使えない。これに対して、コンピュータは計算を
するだけでなく、他のいろいろな機械の働きを模擬する(注) ことができる。そこでコンピュータは人間の知的活動を模擬することができるのではないかと考えて、これを人工知能研究と名づけ、
人間への挑戦が始まった。 (長尾真『入工知能と人間』岩波新書による) (注)模擬する(やや特別な使い方):まねをする
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(3) 「太田さん、①変わりませんね」
(中略)、四年ぷりにホテルのティー・ルームでお会いした編集者のAさんからそのようにいわれた時、わたしはみた目のことをいわれたのだと思って、自然ににっこりした。 「Aさんも、お変わりありませんわ」
ダーク・グレイ(注)のスマートな背広姿は、四年前と変わりがなかったが、その髪にはいくらか白いものが目立つようになったなと思いながらそういったのである。
「いや、ちょうど十五分、遅刻したところがですよ」
Aさんは眼鏡の奥の眼をいたずらっ子の少年のように、わざと大きくしながらいわれた。私は、②しばらくの間顔を上げることができなかった。
(太田治子『気ままなお弁当箱』中公文庫による) (注)ダーク・グレイ:濃い灰色
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(4) 次の文章は、下のグラフを説明したものです。 日本人の日常生活で一般的に使用される電気製品や自動車の購入価格はどのように変化して
いるだろうか。グラフを見てその変化と理由を検討してみよう。このグラフは1980年の購入価 格を100としたときの毎年の購入価格を表したものである。( a )は、1987年を境に購入価格が急速に上昇したが、1989年からはあまり変化していない。その理由としては1988年頃、CDプレーヤーがついて価格が上がったためと考えられる。 ( b )も同様に1987年頃から
大幅に価格が上昇しているが、1991年を頂点にそれ以後下降に転じている。これは大型化によ る価格の上昇とその後の消費者の大型離れが影響していると考えられる。1985年から統計をとり始めた( c
)を見ると、購入価格は少しずつ上がってきたが、1992年以後、やや下降し始めている。 ( d )も、1983年から次第に上昇し、さらに1993年には大きく購入価格が伸
びている。その理由は、輸入が増加したからである。
(グラフ:家計消費研究会編『家計簿からみたニッポン1994』による)
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(5) 次の文は、文化の定義について述べたものである。 まず、ドイツ流の使い方では、一般に「文化」と「文明」とを区別し、文化は精神的・理想的な価値の実現としてとらえられ、哲学・宗教・科学・芸術など、民族の生みだした高度の精神的所産を、一方文明は、技術的・物質的・実際的所産(注1)を意味している。これに対して英米流
の文化概念では、芸術作品など、人間の高度な精神的所産から食事作法などの日常的な生活習慣まで、きわめて包括(注2)的にとらえられている。文化と文明とを区別することがっもない。した
て、木皮や獣皮(注3)でつくられた腰蓑(注4)も、漱石(注5)の文学やモーツァルトの音楽も、さらには子どもの育て方や夫婦関係のあり方までもすべて文化とみなさ れる。したがってこの立場では、文化
のない社会は考えられないし、文化をもたない人間もいないということにくる。 (野口英子「パーソナリティ・文化・社会」,鈴木広編著『現代社会を解読する』ミネルヴァ書房による)
(注1)所産:何かが行われた結果、生まれでてきたもの (注2)包括:関係があるものを全部一つにまとめること (注3)獣皮:動物の皮 (注4)腰蓑 (注5)漱石:明治・大正時代の文学者
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(6) 下のA ~ Dは 、 それぞれア 、ー イ 、 ウ 、 エのどこかに入る文です 。 いままでの生物学というのは 、 もっぱら種レベルの生物学であった 。 ( 中略 ) では 、
種レベルの行動と個体レベルの行動とは 、 そもそも( 注1 )のはじめから異質( 注2 )的なものであって 、 相つながら( 注3)ないものであろうか 。
(ア) ↓ (イ) ↓ (ウ) ↓ (エ)
A おそらく 、 私のこのような考えは 、 これをそのまま人間社会における文化現象に適 用しても 、 あえて矛盾するところは生じてこないであろう 。 B 私はそうばかりとは思わない 。 C 群れをつくっているものの場合には 、 個体レベルの行動と種レベルの行動とのあいだ に 、 なおもう一つ 、 群れレベルの行動というものを 、 はさむ必要があるかもしれない 。 D はじめは個体レベルの行動として発生したものも 、 やがてその行動力 ・ 個体間に普及して 、 大多数の個体に認められるようになれば 、 そのときはもはや個体レベルの行動でなくて 、種レベルの行動といわねばなるまい
。 ( 今西錦司 「 人間社会の形成 』 日本放送畠版協会による ) ( 注1 ) そもそも:もともと ( 注2 ) 異質:性質が違っていること ( 注3)相つながる:互いにつながる
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