Menu JLPT / 2001: JLPT-1 (N2-N1)
Japanese language proficiency test
010.3 - Task 2-3
Grammar and Reading

 
問題II-3
 
(3) 実在する人間の個性をはっきりつかんだ顔が、いわゆる似顔(注1)である。
 似顔のコツとは、その相手のいちばん大きな特徴をつかんだら勝ちである。男ではめがねとかひげ、女では顔のりんかく( 注2)と口もとを描いただけで、もうその人だとわかることもあるくらいだ。
政治家でいえば、(故)吉田首相はめがねと口、(故)岸首相は口もと、(故)佐藤首相はまゆ毛と目、そして(故)田中首相はひげが、最大の特徴であった。
一般に、(注3)アクの強い顔は( ① )。わるくいえば、顔がくずれているからだ。こういう顔は、チラッと見ただけで、印象深く頭の中に残るから、特徴をつかまえやすい。(注4)さよう、相手の顔はチラッと見るに限るのだ。顔の全部を、穴のあくほど、ジーッと見ていると、だんだんかんじんの特徴はわからなくなってしまう。
ことに写真をもとに似顔を描こうとすると、その写真そのものが、本人と似ていなかったりすることもあるのだから、あまり、直感的な強い特徴がつかめないことがある。
それほど顔の特徴というものがない人がいる。こういう人の似顔はたいへんむずかしそうだが、特徴のない顔という点が、特徴といえば特徴といえよう。
ぼくは、こういう相手の似顔を描くときは、そばの二、三人の別な人物の似顔もいっしょに描いてみることにしている。
すると、その二、三人の顔の中にまじった②本人の顔が、なんとはなしに、やっぱりほかとはちがった個性があるなとわかってくるものだ。
 
(手塚治虫『マンガの描き方』光文社による) 
(注1)似顔:実際の人物の顔に似せて描いた絵
(注2)りんかく:物の外側を形づくる線
(注3)アクの強い:人によっては受け入れにくい強い個性を持っているようす
(注4)さよう:そう、そのとおり
問(12)  ( ① )に入れるのに適当なことばはどれか。
1.かんたんに似顔になる
2.特徴がつかまえにくい
3.めがねやひげが必要だ
4.注意深く見る必要がある
 

問(13)  ②「本人の顔」とあるが、何を指しているか。
1.個性的でアクの強い人の顔
2.写真と実物が似ていない人の顔
3.似顔を描いているときの筆者の顔
4.顔の特徴があまりないような人の顔
 

問(14)  筆者は似顔の描き方について、どのような考えを持っているか。
1.写真を見ながら似顔を描くのはまちがったやり方だ。
2.いかに相手の顔の特徴をとらえるかがかんじんである。
3.どんな人でもよく観察して顔の特徴をつかむのがよい。
4.初めて描くときは二、三人の似顔を同時に描くとよい。