Menu JLPT / 1999: JLPT-1 (N2-N1)
Japanese language proficiency test
011 - Task 3
Grammar and Reading

 
問題Ⅲ 次の(1)から(6)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。
 
(1) アメリカのコラムニスト(注1)、ボブ・グリーンは、結婚後かなりたってから初めて父親となりました。彼はほとんど一昼夜にわたった難産にずっと立ち合った(注2)あと、「この24時間で自分がまったく別の人間になったみたいだ」と記しています。グリーンが「別人のよう」になったという変化は、どのようなものなのでしょうか。グリーンは長い出産への立ち合いを終えて病院から帰宅する道で、乳母車(注3)を押して歩いている女性に出合い、「お子さんはおいくつですか?」と尋ね、「15カ月になります」とその女性と親しく会話を交わしたことを述べ、これまで見ず知らずの女性に声をかけたり、子どものことを進んで話題にしたことなどなかった、それを思わずそうしていた自分をかえりみて、「こんなことははじめてだ!」と自らの変化に驚いてこのエピソード(注4)をしめくくっています。
 
(柏木恵子『親の発達心理学』による)
(注1)コラムニスト:新聞、雑誌などに短い随筆や評論を書く人
(注2)難産(なんざん)に立ち合う:大変な苦しみを伴う出産をその場で見守る
(注3)乳母車:赤ん坊を乗せて手で押す車
(注4)エピソード:経験したことを短くまとめた話
問(15)  「自らの変化に驚いて」とあるが、具体的にどのような変化に驚いたのか。

1.出産を経験した妻に対してやさしい態度になったこと
2.自分の子どもが一番かわいいと思うようになったこと
3.他人の子どもに対しても関心を持つようになつたこと
4.知らない人にも自分の子どもを自慢したくなったこと
  

(2) 「おじさん、いい年しているのに案外、気がおけないわネ」
 ある初老の紳士、若い女性にそう言われて、年甲斐もなく(注1)、いい気になっていたら、若い世代の間では、気のおけない、が気を許せない、危険な、という意味だと知って、がく然とし(注2)、がっくりきたという、ウソのような本当の話がある。
遠慮のいらない、の意味の気のおけないに、安心のならない、という新しい用法が発生したことをはじめて報告したのは、見坊豪紀氏である。私はもちろん、それを読んで知っていたが、まだ、それはごく一部の俗語(注3)であろうと思っていた。まさか、胸をはって、こちらの方が正しいのだ、と主張する人が出てこようとは夢にも思っていなかった。
 
(外山滋比古『ことわざの論理』による)
(注1)年甲斐もなく:立派な大人が年齢にふさわしくなく、おろかにも
(注2)がく然とする:意外な事実を知ってひどく驚く
(注3)俗語(ぞくご):正式ではないが世間では使われている言葉
問(16)  「こちらの方が正しい」とあるが、「こちら」とは何か。

1.「気のおけない」は「気を許せない」という意味であること
2.「気のおけない」は「遠慮のいらない」という意味であること
3.「気のおけない」は「いい気になる」という意味であること
4.「気のおけない」は「がっくりくる」という意味であること
  

(3) 「新電池の基本性能が確認でき、実用化のメドが立ちました」------(中略)
この電池は人工衛星の姿勢制御(注1)などに使っている一種のこま(注2)のようなもので、半径20センチほどの円筒形(注3)。高速で回転運動することによってエネルギーを蓄え、必要な時に電気エネルギーとして放出する。従来の電池が化学反応で電気エネルギーを放出していたのとは仕組みが根本的に異なり、「物理電池」と呼ばれる。
電池は携帯電話から宇宙船まで、産業の動力源として応用範囲が極めて広い。しかも、最近は地球環境保護の視点からも猛烈な勢いで開発競争が進んでいる。
 
(1998年2月15日付日本経済新聞Sunday Nikkeiによる)
(注1)姿勢制御:正しい姿勢を保つようにコントロールすること
(注2)独楽(こま):
(注3)円筒形(えんとうけい):
問(17)  「物理電池」と呼ばれるのはなぜか。

1. 化学反応をおこして電気エネルギーをつくりだすから。
2. 回転エネルギーを電気エネルギーに変えて使えるから。
3. 姿勢を制御させるためにこまのような形に作ったから。
4. 半径20センチほどの円筒形の物体を動力源とするから。
  

(4) 辞書は、言葉の学習になくてはならないものである。自らの言葉であっても、外国語であっても、辞書を引いた経験のない者はいまい。辞書には使用されている言葉のあるがままの姿が載せられていると同時に、言葉の使用を規制する働きもある。つまり、「辞書に載っていない使い方は正しくない」とか「使ってはならない」という考え方である。しかし、実際問題として、辞書に言語活動の表現すべてを記述することは不可能である。辞書を活用することは大切だが、辞書に書いてあることを重視するあまり、言葉の自由な使用が規制される方向に向かうことは、好ましいことではない。
問(18)   この文章の内容とあっているものはどれか。

1.辞書を引いた経験がない者もいるが、辞書は多くの人に使われていて特に外国語の学習には必要なものである。
2.辞書には言葉の使用を規制する働きもあるから、辞書に載っている使い方から外れないようにした方がよい。
3.辞書には言語の表現すべてが載っているわけではないから、むしろ辞書にない自由な表現を求めるのがよい。
4.辞書に書いてあることを必要以上に重視して、辞書に載っていない使い方を規制しすぎることは望ましくない。
  

(5) 日本では、2001年4月から、「家電(注1)リサイクル(注2)法」という法律が実施される。これはゴミを減らすために、家庭で不要になった家電の処理方法について決めたものである。
この法律では、メーカーは販売店などを通じて集められたテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の4種類の家電から鉄、銅、アルミ、ガラスなどを回収し、再び原材料や部品として利用することが義務づけられている。同時に、それぞれの製品について重量の何%ぐらいを再利用しなければならないかというリサイクル率の目標も表のように決められている。
表からわかるように、リサイクル率の目標はあまり高くない。その原因は、家電製品に多く使われているプラスチックがリサイクル法の対象外になったためといわれている。
図のとおり、プラスチックが製品の重量のおよそ3分の1以上を占める( A )と( B )は、リサイクル率の目標が50%となっている。特に( B )は4種類の家電製品の中でプラスチックの使われている割合が最も高い。それに対して、再利用しやすいガラスが全重量の半分以上を占めている( C )は、上記の2種類に比べ、リサイクル率の目標が少し高くなっている。また、( D )の目標の数字が最も高くなっているのは、再利用の方法が決まっている金属類が多く使われているからである。
 表 製品ごとのリサイクル率の目標
 図 家電リサイクル法の対象4製品の原材料の割合
 
 (図:1994年度NEDO調査による)
(注1)家電(かでん):家庭用電気製品
(注2)リサイクル:資源を再利用すること
 
問(19)  家電リサイクル法によってメーカーがしなければならないことは何か。

1.4種類の家電から指定された原材料を回収して再利用すること
2.4種類の家電に使われている金属類の50~60%を再利用すること
3.4種類の家電は、再利用できる原材料だけを使って製造すること
4.4種類の家電に使われているプラスチックを回収して再利用すること
  
問(20)  文中の( A )( B )( C )( D )に入る製品の組み合わせはどれか。

1 A:冷蔵庫 B:洗濯機 C:テレビ  D:エアコン
2.A:冷蔵庫 B:洗濯機 C:エアコン D:テレビ
3.A:洗濯機 B:冷蔵庫 C:テレビ  D:エアコン
4.A:洗濯機 B:冷蔵庫 C:エアコン D:テレピ  

(6) 頭の中に一枚の資料を思い浮かべて下さい。大きさはA4(注1)でほぼ一枚全部わたって文章が書かれています。
   資料にかかれている内容は、大きく分けて四つの段落から構成されています。ここではA、B、C、Dとします。
   この資料の「関係と構造」を図解で表現しましょう。
   「あなたも考えてみて下さい」
   こう問いかけると、図2-1のように表現する人がいます。特にコンピューター関係の仕事についている人に多く見られます。おそらくフローチャート(注2)になじみがある(注3)せいでしょう。( ① )文章の「関係と構造」はこうしたAからDへ順に展開していくものはむしろ少ないのです。
   ではどのようなものがあるのでしょう。よく見られる「関係と構造」のパターンははじめに結論を持ってくるものです。たとえば「私はAだと思います」とはじめに結論を述べる。そしてその後に原因、根拠、理由などをせつめいする。「それには三つの理由があります。一つ目の理由がB、二つ目はC、三つ目はD」という具合です。
   このパターンの「関係と構造」を視覚化すれば図②2-2の右の図のようになります。
(中略)
   さて二番目のパターンは、始めに原因や根拠、理由をもってくるものです。たとえば「今のやり方で職場はBで困っています。新入社員からはDという意見が出ています。女性社員の中からCというクレーム(注4)が寄せられています」という場合です。そして最後にそれらから導き出される結論を述べる。「だからAを提案します」と。このパターンの「関係と構造」を視覚化すれば図2-2の左の図のようになります。
(飯田英明『「図解表現」入門』日本経済新聞社による。図2-1は一部省略した。)
 
(注1)A4:紙のサイズの規格の一つ
(注2)フローチャート:手順がわかるように図を並べて線でつないだもの
(注3)なじみがある:慣れてよく知っている
(注4)クレーム:苦情
問(21)  ①に入る言葉として適当なものはどれか。

1.それで
2.やはり
3.確かに
4.しかし  
 
問(22)   ②「図2-2」の説明に合う図は次の中のどれか。

1.2.3.4.