Menu JLPT / 1998: JLPT-1 (N2-N1)
Japanese language proficiency test
010 - Task 2
Grammar and Reading

 
問題II 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。
 
「ドン」という鈍い音がしました。手近な窓から外を確かめてみましたが、別に異常はないようでした。台所へ飛んでいきました。ちょっとこげ臭いような匂いがしました。 ①あわてて火の元を確かめましたが、火の気(注1)もありませんでした。窓が全部開いていて風が流れるので、匂いの元が分かりません。危険はなさそうなので、ひとまず安心して、脱水が終わっているはずの洗濯物を干そうと思いました。ところが脱水(注2)が途中で止まってしまっているのです。洗濯機の回りにこげ臭い匂いがしました。②原因は洗濯機でした。
 修理を頼んで分かったのですが、その洗濯機は問題になっている機種でした。ある年に作られた製品の一部の部品に欠陥があるとのことでした。メーカー側の対応は場合が③場合だけに実に丁寧でした。
 さっそく次の日、修理の人が来てくれました。二十代と五十代らしき二人の男の人で、言葉に素朴なお国なまり(注3)がありました。特に残暑の厳しい日の昼下がり(注4)、慣れぬ東京のしかも分かりにくい世田谷(注5)を、地図を片手に迷い迷い来てくれたらしく、二人ともシャツに汗がしみ出していました。
「本当にご迷惑をかけてしまって申し訳ありませんでした」と、二人はまるで自分たちが悪いことでもしたかのように、④深々と頭を下げてから仕事にとりかかりました。途中、若いほうの人が、故障の原因だった部品を手に細かく説明してくれました。そして、他の個所も調べて、部品を交換してくれました。
「私たち⑤今度のことで急に東京に呼ばれましたが、普段は工場で洗濯機作ってるんです。こんなにきれいに永いこと使ってもらってうれしいです。これでまた新品同様になりましたから、⑥使ってやって下さい二人は洗濯機の外側を撫でるように布で拭きながらそう言って、帰っていきました。
以来、洗濯機は前にもまして実に快調(注6)です。大事に使おうと思っています。
 
(山内美郷『昼下がりのひとりごと』による)
(注1)火の気(ひのけ):火のある気配
(注2)脱水(だっすい):水分を取り除くこと。洗濯機にこの機能がついている。
(注3)お国なまり:出身地の言葉の特徴
(注4)昼下がり:午後1時、午後2時のような午後の早い時間
(注5)世田谷(せたがや):東京の中の地域名の一つ
(注6)快調(かいちょう):調子がいいようす
問(9)  ①「あわてて」とあるが、なぜあわてたのか。

1.「ドン」という音が聞こえたから。
2.外は異常なさそうだったから。
3.こげ臭い匂いがしたから
4.窓が全部開いていたから。
  
問(10)  ②「原因」とあるが、何の原因か。

1.鈍い音とこげ臭い匂いがした原因
2.窓が全部開いて風が流れていた原因
3.この筆者がひとまず安心した原因
4.ある年の製品に欠陥が生じた原因
  
問(11)  ③「場合が場合だけに」というのは、ここではどんなことを指すか。

1.「ドン」という音とこげ臭い匂いがしたこと
2.脱水が途中で終わってしまっていたこと
3.ちょうどその機種が問題になっていたこと
4.特に暑さの厳しい日の昼下がりだったこと
  
問(12)  ④「深々と頭を下げてから」とあるが、なぜ二人の男の人は深々と頭を下げたのか。

1.道がよくわからず修理に来るのが遅くなってしまったから。
2.迷惑をかけたことに直接責任があるように感じたから。
3.洗濯機の故障の原因がまだよく分かっていなかったから。
4.普段は工場で洗濯機を作っていて修理に慣れていないから。
  
問(13)  「今度のこと」とあるが、何のことか。

1.洗濯機の欠陥部品の交換をすること
2.お客様へのサービスを体験すること
3.欠陥部品を作らない技術を研修すること
4.問題になっている機種の調査をすること
  
問(14)  ⑥「使ってやって下さい」という言い方に、二人の男の人のどんな気持ちが表れているか。

1.お客様に大変迷惑をかけてしまって申し訳ないという気持ち
2.機械である洗濯機を人間より下のものとみなしている気持ち
3.新品同様にした洗濯機をお客様にプレゼントするような気持ち
4.自分たちが作った洗濯機をこれからも大切にしてほしい気持ち
  
問(15)  二人の男の人に対する筆者の印象を最も適切に表している文は、どれか。

1.まじめだがもう少し要領が良い方がいいと思っている。
2.洗濯機を新品同様に直してくれた技術に感心している。
3.暑い日に遠くから修理に来たことを気の毒に思っている。
4.二人の仕事ぶりに感謝し、謙虚さや温かさを感じている。