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村下孝蔵 / 少女 // Kozo Murashita / Shoujyo
白い壁を染めて 草笛が 響く丘
菜の花と そして夕月
切れた鼻緒 帰り道の少女が一人
灯りが 恋しくて 震えてた

かすりの着物 おさげ髪には
飾りなど ありません
服を きせかえても 人形は
言葉など 知りません

ふり向いて 僕を見つけ
うれしそうに 微笑んだ
名も知らぬ あどけない 少女よ

青いホタル 今も 甘い水を 探して
見つけられず 迷い込んだ
セロハン越し のぞいて見ていた 大きな空に
まだ 星は 輝いていますか

遠くへ 飛ばそうと 紙風船
たたいたら 割れました
大人になっても 夕立ちに
ふられてばかりいます

あはれ 恋も知らないで
まつげ ぬらした 少女は
悲しき 夕焼けの まぼろしか

ふり向いて 右手を振り
うれしそうに 微笑んだ
いつか見た 僕だけの 少女よ