Kanji

昔々、小さな漁村に浦島太郎という、とても心のやさしい若者が住んでいました。
ある日のこと、太郎が浜辺を歩いていると子どもたちが亀をたたいたりけったりしていじめているのを見ました。
浦島太郎は亀がかわいそうになり子どもたちにこう言ったのです。
「弱いものいじめをしてはだめじゃないか。このお魚をあげるから、その亀を逃してあげなさい。」
亀は太郎にお礼を言いました。
「おかげさまで助かりました。お礼に海の中の竜宮城へご案内しましょう。」
太郎は亀の背中に乗って竜宮城へと向かったのです。
「浦島さん、あれが竜宮城です。」
「あぁ、なんと立派なお城だろう。海の中にこんなお城があるなんて。」
太郎はそのお城の大きさと美しさにびっくりしました。
竜宮城では美しい乙姫さまが太郎を出迎えてくれたのです。
「浦島さん、今日は亀を助けてくださって本当にありがとうございます。どうぞ、ゆっくりしていってください。」
乙姫さまはたいへんなごちそうで太郎をもてなしました。
たろうはおいしいごちそうに大喜びです。
食事の後は、海の生き物たちが歌ったり、おどったりして太郎を歓迎しました。
こうやって太郎は楽しい時を過ごしたのです。
まるで夢のような毎日が過ぎていきました。
ところがある日、実家のことを思い出して、急に家が恋しくなりました。
「おかげさまでとても楽しい時を過ごすことができました。でももう家に帰らなくてはなりません。年老いた父と母が心配しますので。」
「そうですか、それは残念です。それではおみやげにこの箱を差し上げましょう。」
そう言うと乙姫さまは太郎に美しい箱を渡したのです。
「持っているだけで幸せになれる、『玉手箱』と呼ばれる箱です。でも、どんなことがあっても、決してふたを開けてはいけませんよ。」
太郎は箱をもらうとお礼を言って、乙姫さまとお別れしました。
亀の背中に乗って元の浜辺へと帰って来たのです。
ところが浜辺の様子はすっかり変わっていました。
そこにあったはずの木や建物がひとつも見あたらないのです。
自分の家すらもありません。
すれちがう人も知らない人たちばかりです。
不安になった太郎は通りすがりの老人にたずねてみました。
「この辺に浦島太郎という人の家はありませんか。」
するとその老人はこう答えました。
「あぁ、もうずいぶん昔にそんな家があったそうじゃ。なんでもそこに住む若者が亀の背中にまたがって海へ行ったきり戻って来なかったという話じゃが・・・」
「ほんの何日かだけだと思っていたのに。もう何十年も過ぎていたなんて・・・」 
太郎は驚いてしまいました。
そして乙姫さまとの約束を忘れ、あの玉手箱のふたを開けてしまったのです。
すると中からまっ白いけむりがもくもくと出てきたのです。
太郎はすっかりおじいさんになってしまったのです。
おしまい

English

Long, long ago, in a small fishing village, lived a kind-hearted man called Urashimataro. One day, when he was walking on the beach, upon seeing some children hitting and kicking a poor turtle, he said,
"You shouldn't pick on weak things, should you? I'll give you this fish, now let that turtle go."
The turtle thanked Taro.
"Thanks to you, I'm saved. As a token of my gratitude, I shall show you to the Palace of the Sea Godess, Otohime, in the ocean."
Taro got on the turtle's back and they headed towards the palace of the Sea Goddess.
"Mr. Urashima, that is the palace of the Sea Goddess."
"Wow, what a splendid palace. It's amazing that there's such a palace in the middle of the ocean."
Taro was astonished at the beauty and bigness of that palace. At the palace, a beautiful princess came out to meet
Taro.
"Mr. Urashima, thank you for helping the turtle today. Please go and make yourself comfortable."
The princess welcomed Taro with a fabulous banquet. Taro was thrilled with the delicous meal! After the meal, the creatures of the sea welcomed him by singing and dancing.
And like this, Taro spent many happy days. And each day passed like it was a dream.
But one day, he remembered his house, and suddenly became homesick. He said,
"Thanks to you, I was able to spend many fun days. But, now I have to go home. Because my old parents will worry."
"Is that so? That's regrettable. Well, I shall give you this box as a souvenir."
And with that, Princess Otohime passed Taro a beautiful box.
"Just holding this, you will become happy. This box is called tamate box. But no matter what happens, you can never open the lid."
Taro took the box, said his thank yous, and parted with Princess Otohime. He got on the turtle's back and returned to the original beach. But the appearance of the beach had changed completely. There he wasn't able to see the tree that was supposed to be there, the building that was supposed to be there, and even his own house didn't exist. Everybody passing him were complete strangers. Now, a worried Taro asked a passing old man, "Isn't there the house of Urashima Taro in this area?"
With that, the old man said this:
"Ah, a long time ago, I heard there was such a house. Well, there is a story that the young boy who lived there got on the back of a turtle, went out to sea, and never returned."
"I thought it was just a few days, but decades have passed."
Taro was completely surprised. Then he forgot the promise he made to Princess Otohime and he opened the lid to the tamate box. And then, from the box, white smoke floated up. Taro became an old man.
The end.

Hiragana

むかしむかし、ちいさなぎょそんにうらしまたろうという、とてもこころのやさしいわかものがすんでいました。あるひのこと、たろうがはまべをあるいているとこどもたちがかめをたたいたりけったりしていじめているのをみました。うらしまたろうはかめがかわいそうになりこどもたちにこういったのです。
「よわいものいじめをしてはだめじゃないか。このおさかなをあげるから、そのかめをにがしてあげなさい。」
かめはたろうにおれいをいいました。
「おかげさまでたすかりました。おれいにうみのなかのりゅうぐうじょうへごあんないしましょう。」
たろうはかめのせなかにのってりゅうぐうじょうへとむかったのです。
「うらしまさん、あれがりゅうぐうじょうです。」
「あぁ、なんとりっぱなおしろだろう。うみのなかにこんなおしろがあるなんて。」
たろうはそのおしろのおおきさとうつくしさにびっくりしました。りゅうぐうじょうではうつくしいおとひめさまがたろうをでむかえてくれたのです。
「うらしまさん、きょうはかめをたすけてくださってほんとうにありがとうございます。どうぞ、ゆっくりしていってください。」
おとひめさまはたいへんなごちそうでたろうをもてなしました。たろうはおいしいごちそうにおおよろこびです。しょくじのあとは、うみのいきものたちがうたったり、おどったりしてたろうをかんげいしました。
こうやってたろうはたのしいときをすごしたのです。まるでゆめのようなまいにちがすぎていきました。
ところがあるひ、じっかのことをおもいだして、きゅうにいえがこいしくなりました。
「おかげさまでとてもたのしいときをすごすことができました。でももういえにかえらなくてはなりません。としおいたちちとははがしんぱいしますので。」
「そうですか、それはざんねんです。それではおみやげにこのはこをさしあげましょう。」
そういうとおとひめさまはたろうにうつくしいはこをわたしたのです。
「もっているだけでしあわせになれる、『たまてばこ』とよばれるはこです。でも、どんなことがあっても、けっしてふたをあけてはいけませんよ。」
たろうははこをもらうとおれいをいって、おとひめさまとおわかれしました。かめのせなかにのってもとのはまべへとかえってきたのです。
ところがはまべのようすはすっかりかわっていました。そこにあったはずのきやたてものがひとつもみあたらないのです。じぶんのいえすらもありません。すれちがうひともしらないひとたちばかりです。ふあんになったたろうはとおりすがりのろうじんにたずねてみました。
「このへんにうらしまたろうというひとのいえはありませんか。」
するとそのろうじんはこうこたえました。
「あぁ、もうずいぶんむかしにそんないえがあったそうじゃ。なんでもそこにすむわかものがかめのせなかにまたがってうみへいったきりもどってこなかったというはなしじゃが・・・」
「ほんのなんにちかだけだとおもっていたのに。もうなんじゅうねんもすぎていたなんて・・・」 
たろうはおどろいてしまいました。そしておとひめさまとのやくそくをわすれ、あのたまてばこのふたをあけてしまったのです。するとなかからまっしろいけむりがもくもくとでてきたのです。
たろうはすっかりおじいさんになってしまったのです。
おしまい